テンペストTempestは、アラン・ホールズワースAllanHoldsworthが参加していたことで有名ですが、もっと以前には「コラシアム」というバンドがあって、それが解散したときにリーダー格であったドラムスのジョン・ハイズマンJonHisemanが、当時「ニュー・クリアス」とレコーディングをしていたアラン・ホールズワースを引き入れて新バンドを発足した、という経緯があったみたいです。「コラシアム」はかなり有名なバンドらしいですが、私は全然と言っていいほど知りません。
アラン・ホールズワースのギターは、まったく彼らしいサウンドですぐそれとわかります。ただこのアルバムでは3曲目「DarkHouse」では珍しくワウワウ・ペダルが使われていて、彼らしくないブルージーな演奏が聴かれたりします。またアルバム最後の8曲目「UponTomorrow」ではバイオリンを弾いています。これについてはCDの解説で赤石和美さん(赤岩和美さんだと思いますが、誤植なのか赤石となっている)が「この曲でのホールズワースのヴァイオリン・プレイはファンにも人気の高いものであるが、ホールズワースがヴァイオリンを弾き始めたのは、テンペストに加入する少し前のことと言われており、その才能には脱帽すべきである。しかし、以前(87年)にロスのザ・パレスというライヴ・クラブでアラン・ホールズワースのステージを聞いた後に、同行していたレコード会社の人と楽屋を訪ねて『もうヴァイオリンはプレイしないのですか』と質問したら、『もうヴァイオリンには興味がないからやらない。でも、何故そんなことを聞くのか?』と不思議な顔をされてしまったのだ。『テンペストの”アポン・トゥモロー”という曲が好きだから』と言うと、テンペストのレコードは日本で売っているのかとなり、その後はライノ・レコードのスタッフがブロンズ・レコードの権利は今、JVCにあるというような話を始めて、その話しは終わってしまった」というような逸話を書かれています。
またこれは余談になるかも知れませんが、上に掲載したジャケットの左半分の黒い部分は1枚別のページになっていて、それをめくると右側と対になったデザインが表れる変形ジャケットになっています。
このアルバムは1973年に発表された、テンペストのファースト・アルバムです。このCDはテイチク・レコードから「ブリティッシュ・プログレ・クラシックス」と題されて発売されたシリーズの一枚です。
1998.11.23