1980年代、ニュー・ウエーブというロックの新しい潮流の先に、様々な音楽の可能性が開かれてゆきました。これは1970年代のプログレッシブ・ロックと同じ影響をポップ・ミュージック界に与えました。ジャンルを超えた融合、音楽の既製のカテゴリに納まらない形式、そして何よりも忘れてはならないのは、すさまじい攻撃性と表現のエネルギーに満ち溢れているということです。
音楽を形式で評論すると、得てしてこのエネルギーの存在を見落としがちです。これらの流れの中にあって、同じような形式の演奏であっても、それほど感動を与えてくれないグループも数多くあって、それはこの表現のエネルギーに欠けているからです。
さて、ニュー・ウエーブの波は、ロック・ミュージックにジャズの要素を取り入れることに成功しましたが、ジャズの方もロックの要素を取り入れることになってゆきます。このグループもそのひとつ。ファンク・ミュージックがベースで、そこにジャズとロックの要素を取り込んだといえばいいでしょうか。
グループのリーダーはジョー・ボウイJosephBowie。トロンボーン奏者でボーカルも担当しています。トロンボーンという楽器のイメージを払拭するようなパワフルな奏法で、ライブの迫力はすさまじいものらしいです。CDの解説に青木和富さんは、1978年にトランペット奏者のテッド・ダニエルとともに来日したときのことを書かれています。そして彼はジェイムズ・チャンスとも交流があったようで、コントーションズともかかわりがあり、ジェイムズ・チャンス・アンド・ブラックスにも参加した、と書かれています。なおアート・アンサンブル・オブ・シカゴの中心人物であるレスター・ボウイは彼のお兄さんだそうです。
このアルバムも姫路の中古CD店「キリン堂」で手に入れました。580円でした(^_^;)。1982年に発表されたものです。このCDは日本盤で、1988年に発売されたものです。
1998.11.18