So Far / FAUST


一般にファウストのアルバムで評価の高いのは、ポリドールに残した「ファウストFaust」という1stアルバムと、この2ndアルバム「ソー・ファー」のようです。とはいえ、1stアルバムとこの2ndアルバムはずいぶん違った印象を受け、一括りで論ずることはできないと思います。

1stアルバムでは3つの曲がクレジットされていますが、それらは曲というよりは単に「テイク1」「テイク2」「テイク3」という意味くらいしかありませんでした。全てが音のコラージュで、楽曲として楽しめるものはありません。しかしこのアルバムには明らかに楽曲の体を呈している9曲が収められています。

しかし1stアルバムとこの2ndアルバムに共通する印象というのもあって、それは暗いイメージの中に感じられるユーモアのようなものです。ファウストと同じくドイツのプログレッシブ・ロック・バンドである「カンCan」や「アモン・デュール2AmmonDuleU」に似た雰囲気はあって全体的には重いサウンドなのですが、その音の中にどことなく軽いユーモアが感じられます。

このアルバムは1972年に発表されました。帯を紛失しているのですが、CD番号からすると「ポリドール・ポピュラー・CD・ナイス・プライス・シリーズ:幻のプログレッシブ・ロック」と題されて発売されたもののようで、1991年にポリドール株式会社から発売された日本盤です。ジャケットが12ページの冊子になっていて、アルバムに収められた9曲のそれぞれにイメージされたイラストが描かれています。

1998.10.31