超ハイテク・バンド、ブランドXの2ndアルバムです。ブランドXといえば、あまりにも1stアルバム「アン・オーソドックス・ビヘイビアー」のアグレッシブな演奏が頭から離れないのですが、このアルバムではエスニックなアプローチで、熟成された音楽をきかせてくれます。
このアルバムでのメンバーは、ジョン・グッドソールJohnGoodsall(Guitar)、パーシー・ジョーンズPercyJones(Bass)、ロビン・ラムリーRobinLumley(Keybord)、フィル・コリンズPhilipCollins(Drums)、そしてモーリス・パートMorrisPert(Percussion)です。解説の深民淳さんによると、「もともと、セッション・グループ的な色あいが強く、メンバーが流動的であったブランドXの最初のラインナップは初期の中心人物であったロビン・ラムリー(kb、元スパイダース・フロム・マース)、ジョン・グッドソール(ジョニー・マンダーラ)(g、元アトミック・ルースター)、モーリス・パート(perc、元ツトム・ヤマシタ・カム・トゥ・ジ・エッジ・バンド〜サントレッダー)、パーシー・ジョーンズ(b、元リバプール・シーン、スキャフォルド)の4人から成っており、このメンバーが74年の終わり頃集まり、アイランド・レーベルでアルバムを制作する際にドラマーとして迎えられたのがフィル・コリンズで、彼は75年1月にレギュラー・メンバーとしてブランドXに加入したの
である。しかし、このアイランド・セッションは結局リリースされず、ブランドXは新たにカリスマと契約。モーリス・パートが不在のまま1stアルバムをレコーディングしたのである。メンバーはパーカッション・プレイヤーの必要性を感じ、何人かのミュージシャンがライヴなどで参加したものの、しっくりせず、76年半ばにはモーリス・パートが復帰し、本作のレコーディングに突入したわけだ」とバンドの経過を書かれています。
私は当時の宣伝で、フィル・コリンズがセッション・ミュージシャンを結集してバンドを作った、という間違った印象を持っていました。むしろバンドは既に完成されていて、フィル・コリンズはそこに迎え入れられた、というのが正しいのでしょう。確かに1stアルバムからのインタープレイの完成度は、まさしくバンドとしての生き生きとした活動から生まれたものに違いありません。
このアルバムでは6曲目の「ディスコ・スーサイド」が私にとっては思いで深い曲です。ラジオの番組「ライブ・フロム・ザ・ボトムライン」で始めて聴いたブランドXの曲がこれでした。どこまでも広がる海を感じさせる壮大なイメージ。パーシー・ジョーンズのベースに一目惚れ(一聴惚れ?)したのがこの曲でした。音質の良くないカセットテープを何度も何度も聴きました。
また深民さんは「ブランドXは結局、82年までに、カリスマに6枚、CBSに1枚、計7枚のアルバムを発表するわけだが、バンドとしての凄さを見せたという点では最初の3枚が、作品の質といい、ジャケットを含めたトータルな音楽性といい、他のアルバムを引き離していると思う」と述べられています。確かにこのアルバムには、グッドソール名義の曲が3曲、コリンズ名義の曲が2曲、ラムレイ名義の曲が2曲、ジョーンズ名義の曲が2曲と、メンバーがそれぞれ曲を提供しています。
私は、自分が最初に聴いたアルバムだということもあって、「プロダクツ」も大好きです。このアルバムではフィル・コリンズの歌が重要な位置を占めていて、バンドの優れた演奏力とあいまって、とてもいいボーカル曲がたくさん収められています。これはまた次の機会に紹介することができるでしょう。
このアルバムは1977年に発表されました。このCDは、1989年にバージン・ジャパンから発売された日本盤です。
1998.10.22