小川美潮さんは「チャクラ」というバンドでボーカルを担当していました。「チャクラ」は今で言う「インディーズ」的なバンドで、地方の小さなライブハウスで活動するマイナーなバンドでした。その頃は「さてこそ」というアルバムと、「南洋でヨイショ」というミニアルバムを愛聴していました。そして仙波清彦さん率いる「はにわオールスターズ」に参加し、小川美潮さんの名前は有名になりました。
大人数の「はにわオールスターズ」に対して、そのスピリットを持ちながら小さなユニットで活動した「はにわちゃん」も魅力的なグループでした。神戸の「チキンジョージ」という老舗のライブ・ハウスにも何度か来たことがあり、私はステージを2度見ました。一度は演奏が終わってから客席に来てくれ、サインをもらったこともありました。
小川美潮さんの音楽は、子どものように純粋で、跳ねるような若々しさが魅力です。このアルバムでもその魅力は存分に味わうことができます。またその詞はドキッとするような言葉のきらめきを感じる鋭いものです。残念なことに11曲収められた曲のうち5曲は、小川さんでなく工藤順子さんと井上妙さんが書かれています。
参加ミュージシャンは、青山純、鳴瀬喜博、板倉文、ゴンザレス三上、など有名なミュージシャンが多数参加していて、小川さんの交友の広さがうかがえます。特に板倉文さんが作曲し、小川美潮さんが作詞された6曲目「走れ自転車」はチャクラを想起させる曲で、まさに名コンビと言いたいところ。
このアルバムは1992年にエピック・ソニー・レコードから発表されました。
1998.10.12