ソフト・マシーンのデビュー・アルバムです。おそらく当時は、特に日本では手に入れるのがとても難しいアルバムだったのではないかと思います。このCDもメジャーな会社ではなく、MSIという会社が、アメリカのワン・ウェイ・レコードOneWayRecordsという会社のCDを輸入して、歌詞と訳詞、解説を付けて国内で販売したものです。
私のソフト・マシーン体験は7Th、バンドルズからでした。このアルバムを聴いたのはごく最近です。この時代のソフト・マシーンはロバート・ワイアットを中心とする曲作りがされています。ボーカル曲を味わいが素晴らしくいいです。1曲目「ホープ・フォー・ハッピネス」からワイアットの声は天上から響いてきます。この曲は、次の2曲目「ジョイ・オブ・ア・トイ」を挟んで、3曲目「ホープ・フォー・ハッピネス(リプライズ)」へ続きます。
4曲目「ホワイ・アム・アイ・ソー・ショート」と5曲目「ソー・ブーツ・イフ・アット・オール」は、背が低くて自分をぶ男だと思っている男(ロバート・ワイアット自身?)が、自分のことを精一杯表現した歌。6曲目「ア・サーテン・カインド」はキーボードの静かな調べにワイアットの声が透明に響く素晴らしい曲。この曲を聴くだけで幸せな気分になれるのは私だけでしょうか。
「A Certain Kind」
気の利いた恋の歌なんて僕には作れない
だからありふれた言い方ばかりかもしれないけれど
これは僕の素直な気持ち
僕が感じたままだ
いつものように君を愛していると
すべてのことがはっきりと見えてくる
君が僕の側にいるとき
いつまでも僕の側にいたいと思うだろう?
家に帰ることを考えもしないだろう?
君と会って
今日あったこと、僕がしたことを話したい
君が僕の側にいれば
君は時の流れを感じなくなる
これが真実の恋
僕はそう感じる
いつものように君を愛していると
すべてのことがはっきりと見えてくる
君が僕の側にいるとき
いつも君は僕のもの
いつまでも
7曲目「セイブ・ユアセルフ」は、8曲目「プリシラ」を挟んで、9曲目「ララバイ・レター」、そして10曲目「ディド・イット・アゲイン」(このリフは、キンクスの「ユー・リアリー・ガット・ミー」のパロディのような気がします)、11曲目「塵箱より美しく」、12曲目「ホワイ・アー・ウィ・スリーピング?」へとシームレスに続いてゆきます。その後の13曲目「BOX25/4LID」は、後のテクニカルな時代のソフト・マシーンを予感させるような小曲です。
このアルバムは1968年に発表されました。このCDはMSI/TOKYOがアメリカのOneWayRecordsからCDを輸入し、歌詞と訳詞、解説を付けて国内で販売したものです。
1998.10.2