「クロス・オーバー」とか「フュージョン」という言葉で新しいジャズを語られることがあって、こういうジャンルで呼ばれる音楽には嫌悪感、とは言い過ぎですが、あまりいい印象は持っていませんでした。「クロス・オーバー」や「フュージョン」=「イージー・リスニング」というイメージが私の頭の中にはあったからです。アル・ディメオラAlDiMeola(アル・ディ・メオラではない?)もこのジャンルの音楽と思っていました。
2曲目の「ミッドナイト・タンゴ」は私の印象通りの「イージー・リスニング」サウンドですが、例えば1曲目「フライト・オーバー・リオ」はプログレッシブ・ロック調の曲に泣きのギターを聴かせてくれますし、4曲目の「レース・ウィズ・デビル・オン・スパニッシュ・ハイウェイ」などはかなりロック的なアプローチが強い曲です。
3曲目「地中海の舞踏」は、アル・ディメオラとパコ・デ・ルシアPacoDeLuciaの二人がアコースティック・ギターによる共演をしています。5曲目「レディ・オブ・ローマ、シスター・オブ・ブラジル」も短い曲ですが、アコースティック・ギターの魅力を楽しめます。最後の6曲目「エレガント・ジプシー組曲」は9:16の大作。アルバム一番の聴きどころです。
このアルバムは1977年に発表されました。このCDはソニー・ミュージック・エンターテインメントから1991年に「Jazz&FusionMasterPieces」として、ウエザー・リポートの1stやリターン・トゥ・フォーエバーの「ロマンの騎士」などどともに2,000円の廉価で発売された日本盤です。
1998.9.25