タンジェリンTangerineとは、アフリカのTangierが語源で、北アフリカ原産のタンジェリン・オレンジの意味から、オレンジ色を指す言葉のようです。Stratosfearは「成層圏」の意味。ジャケットのデザインはアルバム・タイトルをよく表しています。
曲は全部で4曲。1曲目は「ロマン」という邦題がついていますが、原題は「Stratosfear」でタイトル曲です。リズミックなシンセサイザーのシーケンサー・フレーズにアドリブが重なるという、私にとっては典型的な「タンジェリン・サウンド」と感じられる曲です。後半部にはドラム・キットも入り、エレクトリック・ギターも弾かれます。ドラムやギターが入ると、どうも一般的なロックバンドの形から脱却しきれない感じを受け、違和感を感じてしまいます。
2曲目は放題「大いなる幻影」、原題は「TheBigSleepInSearchOfHades」。Hadesはギリシャ神話のハデスで、死者の国のこと。地獄のことを指すこともあるようです。BigSleepは死ぬことですから、直訳すると、「地獄を求める永眠」とでもなりますか。曲は淡々としていて、あまり暗くはありません。
アナログ・レコードのB面へ移り、3曲目「境界線午前3時」。これも原題は「3amAtTheBorderOfTheMarshFromOkefenokee」で、Marshは湿地や沼のこと、Okefenokeeはなにやらわかりません。これはかなり重く暗い曲です。
最後の4曲目は「インビジブル・リミッツInvisibleLimits」。これもゆったりとした曲です。いくつかの場面展開があり、ドラム・キット、エレクトリック・ギターやピアノ、そして効果音的なサウンドも使われた、組曲風のものです。
このアルバムは、1976年にバージン・レコードVirginRecordsLtd.から発表され、1977年に日本コロムビアから発売された日本盤のアナログ・レコードです。解説には横尾忠則さんが自らとタンジェリン・ドリームとの「因縁」を、熱い言葉で語っています。
1998.8.30