Close To The Edge / YES


プログレッシブ・ロックというものの概念を形作ったといえるアルバムです。イエスの絶頂期に作られたアルバムで、通算5枚目のアルバムです。このアルバムを発表した後、当時はおどろくべきボリュームだった、3枚組みのライブ・アルバム「イエス・ソングズ」を発表します。

1曲目「CloseToTheEdge」は、鳥のさえずりと川の水の流れのサウンドコラージュで幕をあける、18分以上の大曲。全部で4つのパートに分かれている、組曲風になっていますが、特に曲の切れ目を意識せずに最初から最後まで流れるように聴くことができます。とりわけ冒頭はすさまじいコンビネーション・プレイで迫ってきます。この感動は、アルバム「リレイヤー」でも聴くことができるもので、全てのメンバーの音に耳を傾けなければ感動の全てを味わうことができない緊張感にあふれる部分です。安定感に満ちてぶんぶんとうなるクリス・スクワイアChrisSquireのベース、極端に硬い音で縦横無尽に飛び回るスティーブ・ハウSteveHoweのギター、弾けるような音色でアルペジオを弾くリック・ウエィクマンRickWakemanのキーボード、ころころと独特のスネアとキックの入れ方に特徴があるビル・ブラフォードBillBrufordのドラム、天から降り注ぐようなジョン・アンダーソンJonAndersonのボーカル。互いに影響を与え合いながら一つの高みへ上っていく、荘厳とも言えるインタープレイです。

2曲目「AndYouAndI」は、アコースティック・ギターで始まる曲。ゆったりとしたリズムで、ジョン・アンダーソンの歌を十分に満喫することができます。この曲も4つのパートで組曲風に仕立てられています。

3曲目は「SiberianKhatru」。ロック史に残ると言っていいスティーブ・ハウのギター・リフで始まります。とりわけこの曲を聴くと、この時期のイエスはスティーブ・ハウの主導権の下にあったのではないかと思えます。この曲は組曲とはなっていませんが、たいへん数多くのアイデアが詰め込まれています。おそらくアイデアを出しながら何度も演奏をし、アレンジを繰り返した後に、この形になったのだと思います。まさにバンドとしての生き生きとした活動が結晶化したという曲です。

このアルバムは1972年に発表されました。このCDはアトランティック・レコードAtlanticRecordingCorporationから発売された米盤です。

1998.8.9