クラフトワークKraftwerkのアルバムで最も有名なものといえば、「アウトバーン」だと思いますが、私が始めて聴いたクラフトワークのアルバムは「マン・マシーンTheManMachine」でした。その後「アウトバーン」、「ラルフ・アンド・フローリアン」、ファースト・アルバム「クラフトワーク」を聴きました。学生時代の当時は、値段の安い米盤を買うことが多かったです。三宮のセンター街に「AOI」というレコード屋があって、有名なアルバムは輸入版を揃えていました。しかし次第にクラフトワークのクリアな音の魅力にとりつかれ、やはりスクラッチ・ノイズの少ない日本版がいいなあと思うようになり、このアルバム「ヨーロッパ特急Trans−EuropeExpress」は日本版のレコードを買ったことを覚えています。
クラフトワークを一躍有名にした「アウトバーン」は彼らの4枚目のアルバム。その次に「放射能」というアルバムを出し、そしてこの「ヨーロッパ特急」は6枚目のアルバムということになります。アルバムのコンセプトは、「アウトバーン」に類似しており、「アウトバーン」が車のドライブをイメージしているのに対して、このアルバムでは列車の走る「こととん、こととん」という心地よいリズムがベースになっています。
「ヨーロッパ特急Trans−EuropeExpress」はタイトル曲ですが、1曲目の「ヨーロッパ・エンドレスEuropeEndless」と、それと対になった最後の曲「エンドレス・エンドレスEndlessEndless」もゆったりとしたいい曲です。そしてこのアルバム中で特に私が好きなのは、3曲目「ショールーム・ダミーShowroomDummies」です。とてもタイトなリズムでマネキン人形のことを歌ったこの曲は、その後の名作「マン・マシーン」を彷彿させる曲です。
「ヨーロッパ特急」に、「MeetIggyPopAndDavidBowieイギー・ポップとデビッド・ボウイに会うために」という歌詞が出てきます。クラフトワークとイギー・ポップ、デビッド・ボウイはなんだがあわない気がしますが、解説の内堀隆さんによると、「クラフトワークは76年にデビッド・ボウイのステイション・トゥー・ステイション・ツアーのオープニング・アクトに要請されたが断っている。そこでボウイはオープニング前のBGMにクラフトワークのテープを使用した。その後ボウイはドイツに住むようになり『ロウ』、『ヒーローズ』などの傑作を発表した」と、その親交の様子を紹介しています。
このアルバムは1977年にキャピトル・レコードCapitolRecords,Inc.から発表されました。このCDは「クール・プライス」というシリーズで、東芝EMI株式会社から1995年に1,750円という廉価で発売された日本盤です。
1998.8.6