ブーゲンビリア / Cocco


このアルバムはYさんが貸してくれました。どういういきさつだったかなあ。私が教室で自分の好きな音楽の話しをしたからだったかなあ。とにかくYさんは「私の大好きなミュージシャンです」といって聴かせてくれました。

Yさんはとても淑やかな女性ですし、「Cocco」という可愛らしい名前、「ブーゲンビリア」というアルバムのタイトルなどから、軽やかなポップスを想像していました。ところがこれがおおはずれ。とても激しく、強いメッセージを帯びた音楽で驚きました。サウンドのハードさもさることながら、歌詞の鋭いこと。

1曲目のタイトルは「首」。すごい題です。穏やかなチェロの音で始まり、直後にハードなサウンドに大転回。「抱き寄せて絡まって/引き裂いて壊したい/悩ましく誘って/蹴落として潰したい/あなたと見た海に/その首を沈めたい」「これからもこれから先も/私ほど純粋な女に/会えるわけないことくらい/わかっているでしょう?」「キスをして囁いて/舌を出し感じたい/ずっと舐め合って濡れながら悶えたい」というような激しい愛の歌です。

2曲目「カウント・ダウン」は、私を愛さなければ銃で撃ち殺してしまうよ、というような歌です。「まだ間に合うわ今なら/まだ戻れるわ急いで/あの女にはできない/この想いには勝てない/さあ早くして/撃ち殺されたいの?」「跪き、手をついて/わたしに謝りなさい/ちからなくしなだれて/わたしを愛しているとつぶやきなさい」「その鼻をへし折って/倒して蹴り上げるわよ/言い訳が見物だわ/今さら何を言っても遺言だけど」っていうような歌です。

とにかく全体的に「与える愛」「受け止める愛」ではなくて、「奪う愛」というか「迫る愛」というか、恐い愛の世界があります。僕にはちょっとわからない感情です。でも感情移入してしまえばカタルシスを感じることになるのでしょうか。

このアルバムは 1997年にビクターエンターテインメントから発売された日本盤のCDです。

1998.6.26