邦題は「ホールド・ミー」とアルバム4曲目のタイトルが付けられていますが、正式には「NinaHagen」。自分の名前を付けるということは、ミュージシャンにとっては特別の意味があります。それだけこのアルバムは彼女にとって大切なアルバムなのでしょう。
あまりにストレートな1曲目に驚きます。「二ナの祈り(ジャニスの祈り)MoveOver」はジャニス・ジョプリンの曲です。歌い方もどこか彼女に似ていて、彼女の魂が乗り移ったかのようです。2曲目「スーパー・フリーク・ファミリーSuperFreakFamily」もスーパースターを称える(ニナ自身のことも)歌で、ストレートでシンプルなロック・ミュージックです。3曲目「ラブ・ハート・アタックLoveHeartAttack」は一転してファンキーなラブ・ソング。まるでグレイス・ジョーンズのような雰囲気です。4曲め「ホールド・ミーHoldMe」は歌詞がとてもシンプル。リズムもハーモニーもアメリカン・ロック調です。5曲目「ラスベガス万才!LasVegas」もアメリカン・ロック調。6曲目「リヴ・オン・マースLiveOnMars」は変な曲です。歌詞が書かれていないことからも、どうも適当に無意味な音を繋げているような感じの歌です。火星人のつもりですかね。そのなかで「なまーしばーやー、なまおぉー」という歌詞、というかメロディーというかがありますが、なにかどこかで聞いたことがあるフレーズです。7曲目「ドウプ・サック
スDopeSucks」と、9曲目「パーティーはどこでWhere’sTheParty」は、ファースト・アルバムで聞かれるような軽快な曲。こういう曲は僕の大好きなところです。8曲目「オンリー・セブンティーンOnlySeventeen」はジャズ的なサックスで始まる曲で、若い世代への愛情がこもった曲。10曲目「ゴルバチョフ・ラップ」はドイツ語で歌われていて、歌詞も訳詞も付いていません。アルバムに付けられた二ナ自身の解説によると、ゴルバチョフの自由化路線を称えた歌のようです。ラスト11曲目「アヴェ・マリアAveMaria」はトラッド・ソングをアレンジしたもの。これもドイツ語で歌詞も訳詞もないので意味がわからず残念です。
このアルバムは1989年に日本フォノグラム株式会社から発売された日本盤のCDです。ジャケットはジャン・ポール・ゴルチエ。裏ジャケットの写真も、ライナー内の写真も素敵です。またニナ自身による各曲の解説が日本語訳で紹介されています。
1998.6.15