The Polite Force / EGG


数々のアルバムに残されたデイブ・ステュワートのオルガン・プレイの中で、このアルバムのものが最高だと言い切ってしまいましょう。このアルバムも何度聴いたことかわかりません。学生時代からの私の愛聴盤です。

1曲目「ニューポート病院への訪問AVisitToNewportHospital」(奇妙な題名ですね)は重苦しい雰囲気で始まりますが、すぐにカンタベリー風の幻想的な曲調に展開します。デイブ・ステュワートのハモンドオルガンが素晴らしい曲。ベースも随所でアクセントを付け、まさにメンバー3人のインタープレイが結晶した作品です。歌の内容は、学生時代のバンド「ユリエル」の頃の思い出を語ったようなものです。

2曲目「コントラソングContrasong」は凄まじい変拍子の曲です。しかも変拍子であることを特に強調した作りになっていて、リズムとメロディーを追いかけるだけで快感に浸れます。アルバムの裏には「5/8と9/8拍子を基本としている」と書かれています。

3曲目「ボイルクBoilk」はざあざあと水が流れ出る音で始まるコラージュ風の曲。ノイズやギターを叩くような音、テープの逆回転など実験的な作品です。そして最後にはパイプオルガン風のキーボードで静かに終わりを迎えます。「Inc:Bach:’DurchAdams Fall ist ganz verderbt’」と書かれているので、曲の終わりのパイプオルガンはバッハの曲なのでしょうか。

ここまでがアナログ盤のA面で、B面は「小品第3番LongPieceNo.3」と題され、パート1から4まである合計20分少しの組曲で占められています。こちらは歌のないインストゥルメンタル曲です。どの曲も独立した雰囲気を持っており、あまり組曲としての統一感はありません。どの曲も変拍子を多用した曲です。

このアルバムは1970年にデッカ・レコードDeccaRecordCompanyLimitedのデラム・レコードDeramRecordsから発表されました。このアナログ・レコードは、1976年にキング・レコードKingRecordから発売された日本盤です。解説は大貫憲章さんが書かれています。

1998.5.17