Egg / EGG


これこそ「カンタベリー・ロック」の神髄と言っておきましょう。私の大好きなキーボード奏者デイブ・ステュワートDaveStewart率いるエッグEggのファースト・アルバムです。

このアルバムで演奏しているエッグEggのメンバー、デイブ・ステュワート(Organ,Piano,ToneGenerator)、モント・キャンベルMontCampbell(Bass,Vocals)、クライヴ・ブルックスCliveBrooks(Drums)は、ギタリストのスティーブ・ヒレッジSteveHillageとともに学生時代に「ユリエルUriel」というバンドを作っていました。そのユリエルからスティーブ・ヒレッジが抜けた3人が作ったグループが、この「エッグ」です。

サウンドはまだまだ試行錯誤の跡が見え、クラシック音楽のフレーズを引用したり、和音進行を強引に崩したりといった実験的なところに不自然さを感じますが、ハモンド・オルガンはまさしく「デイブ・ステュワート風」で、私にとっては至福の音楽です。1曲目「ホワイル・グローイング・マイ・ヘアーWhileGrowingMyHair」はカンタベリー的な雰囲気があり、歌詞もファッションとしてのロック・ミュージックとそのスタイルを反省した、ちょっと考えさせられるものです。5曲目「臆病者マクギリギューディーの歌TheSongOfMcGillicudieThePusillanimous」は、ELP風のハードな曲。そしてアナログ盤ではB面全部を占める組曲「交響曲第2番SymphonyNo.2」は20分42秒の大作。第2楽章でピアノとエレクトリック・ピアノがほんの少し、コラージュ風の楽章でノイズとリングモジュレーターが使われていますが、基本的にデイブ・ステュワートはハモンドオルガン一本だし、シンプルであるがゆえに曲の良さが味わえます。

解説のたかみひろしさんによると、モント・キャンベルとデイブ・ステュワートは生年月日が1950年12月30日で同じ日だそうです。こういう点でも二人は互いに運命的な出会いを感じたかも知れませんね。

1998.5.16