Song Without Words / Chris Spedding


先日紹介したニュークリアスNucleusの2枚のアルバムでギターを聴かせてくれた、これも「カンタベリー派」と呼ばれるミュージシャンのクリス・スペディングChrisSpeddingのソロ・アルバムです。このアルバムも私の大のお気に入りで、学生時代から何度も何度も針を落としました(アナログ・レコードです)。

テクニシャンではありませんが、ギター本来の持つ生々しい音で、独特のリズムを持つ前のめりの演奏を聴かせてくれます。ニュー・クリアスではあまり目立った演奏ではありませんでしたが、このアルバムでは存分にそのギタープレイを楽しめます。

またこのアルバムで印象的なのは、トロンボーンの演奏です。アルバム全体にわたりトロンボーンの音が曲の中心となるポイントを占めています。私はよく知らないのですが、解説の和田栄司さんによれば、トロンボーン奏者のポール・ラザフォードPaulRutherfordは1970年度のメロディー・メーカー誌でトロンボーンの部で第3位に選ばれた評価の高いミュージシャンだそうです。

またドラムスはニュークリアス、ソフト・マシーンSoftMachineに参加したジョン・マーシャルJohnMarshall。ソリッドでロック的な演奏を聴かせてくれたソフト・マシーンのときと異なり、このアルバムでは心地好くスイングするジャズ風のアプローチをしています。

その他のミュージシャンは、ジョン・ミッチェルJohnMitchell(Piano)、ロジャー・ポッターRogerPotter(Bass)となっています。

このアルバムは1970年に東芝EMIから1,500円という廉価版で発売された日本盤のアナログ・レコードです。解説によると本国イギリスよりも日本でのこのアルバムの発売が早かったということです。(後日、このページを見た方からのメールで、このアルバムは日本だけで発売されたものであり、クリス・スペディング自身は発売について不本意であった、という話をうかがいました。)

1998.5.12