Space Shanty / KHAN


いわゆる「カンタベリー派」と呼ばれるミュージシャン、スティーブ・ヒレッジSteveHillage(Guitars,Vocals)がリーダー格のグループ「カーンKhan」のファーストで、かつ唯一のアルバムです。ゲストとしてこれもカンタベリー派ミュージシャンとして有名なデイブ・スチュワートDaveStewartOrgan,Piano,Skyceleste,Marimbas)が参加しています。

スティーブ・ヒレッジは学生時代、デイブ・ステュワート、モント・キャンベルMontCampbell、クライヴ・ブルックスCliveBrooksとともに「ユリエルUriel」というグループを作っていました。このユリエルからスティーブ・ヒレッジが抜け、結成されたのが「エッグEgg」です。このグループも私は大好きで、特にアルバム「優雅な軍隊ThePoliteForce」は大のお気に入りです。これは後日紹介します。そしてスティーブ・ヒレッジはニック・グリーンウッドNickGreenwood(Bass,Vocals)、エリック・ピーチェイEricPeachey(Drums)とともにこの「カーン」を結成します。

しかしカーンはスティーブ・ヒレッジの級友デイブ・ステュワートをゲストに迎えたこのアルバム1枚を残して解散してしまったようです。

アルバムに収められた曲は万華鏡のように変化するめまぐるしい展開の曲ばかりで、組曲と言うか、物語風につづられたアルバムという印象を受けます。そういえばスティーブ・ヒレッジのソロアルバム「フィッシュ・ライジングFishRising」に似ています。スティーブ・ヒレッジのギターは様々な奏法で、例えば1曲目「スペース・シャンティSpaceShanty」ではクリアなギターにエコーを効かせた彼独特のサウンドですが、2曲目「見知らぬ浜辺にてStranded」ではディストーションを深くかけているし、3曲目「自由への飛翔MixedUpManOfTheMountains」の後半部分のギター・ソロはまるでリッチー・ブラックモアRichieBlackmoreか(!)と思わせるスケールのソロを聴かせてくれます。

このアルバムは1972年にデッカ・レコードDeccaRecordsCompanyLimitedから発表されました。このCDは1989年にポリドール株式会社PolydorK.K.から発売された日本盤です。私はアナログ・レコードも持っていて、これは1976年にキング・レコードKingRecordCo.Ltd.から発売され、たかみひろしさんが熱い思いを解説に書かれています。CDに書かれていないメンバーのクレジットなどもわかります。