Different Trains ・ Electric Counterpoint / Steve Reich
ライヒの作品を演奏することで有名なクロノス・カルテットKronosQuartetと、ジャズのギタリストパット・メセニーPatMethenyによる演奏です。クロノス・カルテットは「ディファレント・トレインズDifferentTrains」、パット・メセニーは「エレクトリック・カウンターポイントElectric
Counterpoint」を演奏しています。
「ディファレント・トレインズ」はクロノス・カルテットが演奏するものとして、ベティ・フリーマンBettyFreemanという人の依嘱をうけて1988年に作られた曲です。初期のライヒの作品と異なり、単純なミニマル・ミュージックではなく、ストリングスの持続音、汽車の汽笛のような効果音、声などが、反復と変化をうまく織り交ぜながら演奏されます。解説は現在NHK−FMで「現代の音楽」という番組のDJをされている白石美雪さんです。
白石美雪さんの解説から「ディファレント・トレインズ」について引用させていただくと、「この曲には様々な列車について語った5人の言葉が組み込まれている。それらは楽器によって補強され、ほぼ言葉として聴きとれる形のまま反復される。しかも、戦前のアメリカ/戦時中のヨーロッパ/戦後という3部構成に沿って、幼年時代のライヒが離婚した父母の住まいを行き来する列車旅行につきそった家庭教師の言葉と、その頃列車のポーターをつとめていた老人の言葉で第一部がはじまり、第二部はナチスによるユダヤ人大虐殺で生き残った3人の体験談を、そして第三部はその両方をとりまぜて配置して、作品に内在するストーリーを暗示する。」というものです。
「エレクトリック・カウンターポイント」は、1987年にブルックリン音楽大学BrooklynAcademyOfMusicの「ネクスト・ウエーブ・フェスティバルNextWaveFestival」でパット・メセニーが演奏するために書かれた作品です。あらかじめ録音された10本のギターと2本のエレクトリック・ベースの音を再生しながら、パット・メセニーがリアルタイムで演奏を加えるという作品です。メセニーはギブソンES−175とアコースティック・ギターを使って演奏し、たいへんピュアで清楚な彼らしいギターを聴かせてくれます。
この曲は、1982年にフルート奏者ランサム・ウィルソンRansomWilsonのために書かれた「バーモント・カウンターポイントVermontCounterpoint」、1985年にクラリネット奏者リチャード・ストルツマンRichardStoltzmanのために書かれた「ニューヨーク・カウンターポイントNewYorkCounterpoint」に続くシリーズの3作目にあたるとのことです。しかしいずれもまだ私は聴いたことがありません。
このCDも先日、KAXさん帰国のときに、彼の実家の近所で手に入れました。1989年に米ノンサッチ・レコードNonesuchRecordsから発表され、株式会社ワーナー・ミュージック・ジャパンから発売された日本盤のCDです。
1998.4.5