Early Works / Steve Reich


これも先日KAXさんの実家の近くで買ったCDのうちの一枚。こんなものがビデオレンタルと併設されているような小さなCD店にあったことが驚きです。やはり大阪はあなどれないですね。

ライヒの初期の作品、1965年の「It’sGonnaRain」、1966年の「ComeOut」、1967年の「PianoPhase」、1972年の「ClappingMusic」の4曲が収められています。いずれも極めつきの実験的作品で、「音楽」と「そうでないもの」との狭間を追求し、よって音楽の本質を見極めようという作品です。

「It’sGonnaRain」は牧師の言葉をテープに録り(今ならサンプラーで簡単にコントロールできるところです)、それを反復パターンとし、繰り返しを微妙にずらすことによってリズミックなサウンドを作り出したものです。解説の川西真理さんによると、ライヒの言葉によれば「『偶然性の介入しない』完全な制御と『作者の構成意図から離れた』非人称的な音響を結び付けた」ものであり、「漸次的変移プロセス」と呼ばれているようです。

「ComeOut」は「It’sGonnaRain」を純化したもので、「ComeOutToShowThem」という言葉が楽器のように扱われ「漸次的変移プロセス」によって「演奏」されていきます。これも解説の川西真理さんによると、ニューヨークで起きた暴動をきっかけに作られた、政治色のある作品だということです。

「PianoPhase」は言葉ではなくピアノで「漸次的変移プロセス」が演奏されています。2台のピアノで演奏されています。「It’sGonnaRain」も「ComeOut」も最終的には漸次的変移プロセスが混沌としたものとなってフェードアウトせざるを得なかったのに対し、2台のピアノが微妙にテンポをずらしながら演奏を行い、離れてはまた合致するというリズムの面白さが素直に楽しめます。20分以上ある曲ですが、ピアニストも大変だったでしょうね(^_^;)

「ClappingMusic」は手拍子を使った「漸次的変移プロセス」の曲。しかしここでは変移はかなり恣意的に思われ、どこまでが楽譜に書かれ、どの程度演奏者にまかせられているのか興味を感じるところです。

このアルバムは米ノンサッチ・レコードNonesuchRecordsで作られたもので、ワーナー・ミュージック・ジャパンから1987年に発売された日本盤のCDです。

1998.4.4