No Pussyfooting / FRIPP & ENO


このアルバム・ジャケットは、私が知ってる中でも極めて美しいもので気に入っています。キング・クリムゾンのリーダー、ロバート・フリップRobertFrippと、ロキシー・ミュージックRoxyMusicやデビッド・ボウイDavidBowieのグループに参加していた異色のキーボード・プレイヤー、ブライアン・イーノBrianEnoの共演によるアルバムです。

アナログ・レコードのA面、B面にそれぞれ「TheHeavenlyMusicCorporation」と「SwastikaGirls」という曲が収められています。いずれもイーノのシンセサイザーに、フィードバック奏法によるフリップのギター・インプロビゼーション(このアルバムでは”フリッパートロニクス”という言葉は使っていません)が重なるという音楽です。

「TheHeavenlyMusicCorporation」−至上の音楽を奏でる組織、というような意味でしょうか、これは1972年9月8日にイーノのスタジオで録音されたとクレジットされています。Equipmentとして、GibsonLesPaul、TheFrippPedalboard、2ModifiedRevoxA77TapeRecorderが使われたとあります。確かにサウンドはフリップのギターにエフェクトが加えられ、フィードバックされ、多重録音により作られています。

「SwastikaGirls」−第三帝国の女(「swastika」は「まんじ」模様のことで、逆まんじはナチスの紋章)は、1973年8月4日、5日にコマンド・スタジオCommandStudiosで録音されたとあります。エンジニアはレイ・ヘンリックセンRayHendricksen、ミックスダウンは1973年8月21日、22日にエアー・スタジオAirStudiosで行われました。Equipmentとしては、GibsonLesPaul、Fuzzbox、VCS3SynthesizerWithDigitalSequencer、ModifiedRevoxA77TapeRecorderが使われたとあります。

二人は出会ってそれぞれの楽器を手にした後、あっというまにこのアルバムを完成させたののではないでしょうか。天才的なミュージシャンが出会い、出るべくして出た運命的なアルバムという印象を受けます。なお「pussyfoot」は「日和見的態度をとる」という意味ですから、「非日和見主義」と訳せましょうか。

このアルバムは1973年に発表され、ポリドール・スペシャルPolydorSpecialと名づけられたシリーズの、英盤アナログ・レコードです。

1998.3.16