Beat / KING CRIMSON


再結成キング・クリムゾンの2枚目。長いクリムゾンの歴史の中でも、全く同じメンバーでアルバムを作ったのは始めてということで、そういう点からも話題を呼びました。エイドリアン・ブリューAdrianBelew(guitar、lead vocal)、ロバート・フリップRobertFripp(guitar、organ、frippertronics)、トニー・レビンTonyLevin(stick、bass guitar、support vocal)、ビル・ブラフォードBillBruford(drumming)、のカルテットです。

フリップは再結成に際して、「Discipline」「Beat」そして「ThreeOfAPerfectPair」の3枚のアルバムを出すことを予定していたようです。従ってこの3枚は全体的に調和の取れたもので、「3部作」と呼んでも良いかも知れません。

前作との違いでもっとも良くわかるのは、エイドリアン・ブリューの存在感の大きさでしょう。前作ではボーカルはサウンドの一部という印象でしたが、このアルバムでは歌の存在が大きく、エイドリアン・ブリューも伸び伸びと歌っています。フリップもブラフォードもトニー・レビンも、まるで彼をサポートするかのように思えるくらいです。

そして、意外とサウンド面で大きく変っているのは、ビル・ブラフォードのドラムが完全にシモンズ・エレクトリック・ドラムに置き換わっているところです。前作では普通のドラム・キットで、特にコロコロと印象的なスネアの音は彼独特のものでした。しかしこのアルバムではこのスネアの音は聴かれません。

確かシモンズの開発にはビル・ブラフォードが加わっていたと記憶しています。長年の「音」を変えてしまうほどシモンズに魅力を感じたのでしょうか。1981年の来日公演で、ブラフォードとブリューが平らに並べられたシモンズのパッドをマリンバのように叩いての合奏は、とても印象に残っています。シモンズといえば当時、大学で私やKAXさんと一緒にSnapOutというバンドを始めたドラムのNさんも惚れ込み、学生の分際ながら(失礼)当時で100万円ほどしたセットを買い使っていました。

このアルバムは1982年に発表され、ポリドール株式会社から発売された日本盤のアナログ・レコードです。

1998.3.14