Earthbound / KING CRIMSON


キング・クリムゾン初のライブ・アルバム。しかし発表に至る事情は複雑だったようです。北村昌士さんの書籍「キング・クリムゾン(シンコー・ミュージック刊)」は、「これはアイランド・レーベルの通常のコードとは別に設置された廉価盤シリーズ”HELP”から発表され、ワールド・ディストリビューションの権利を持つアトランティックがこれを買わなかったため、イギリス以外の国では発表されなかった。理由はカセット録音で音質がきわめて悪いことと、内容があまりクリムゾン的でないことによるらしい。」と解説しています。

このアルバムを聴くと、当時のクリムゾンの様子がありありとわかります。「21stCenturySchizoidMan」は間奏にメル・コリンズMelCollinsのソロがフューチャーされている以外はオリジナルに忠実。しかし「Peoria」は完全にメル・コリンズ、ボス・バレル、イアン・ウォレスの主導権の下で、フリップは演奏に有効に加われずにうろうろとしています。「TheSailorsTale」はメンバーのコンビネーションがこのアルバム中では最も良い感じ。「Earthbound」は、全くクリムゾンの匂いが感じられません。

しかし当時のライブの様子を伝える公式アルバムはこれだけですから、貴重な音源であることは間違いありません。このアルバムは1972年にアイランド・レコードIslandRecordsから発売されたアナログ・レコードで、英盤です。

1998.3.8