In The Wake Of Poseidon / KING CRIMSON


キング・クリムゾンのセカンド・アルバム。正直いって、このアルバムを最初に聴いたときは「1stと同じじゃないか」と思いました。それは3曲目の「ケイデンスとカスケイドCadenceAndCascade」から4曲目の「ポセイドンのめざめInTheWakeOfPoseidon」へ至るところが、ファーストの「風に語りてITalkToTheWind」から「エピタフEpitaph」への部分を想起させるからだでしょう。

ファースト・アルバムでは曲の多くがメンバーの共作ですが、このアルバムではほとんどの曲がフリップ、またはフリップとシンフィールドの共作となっています。フリップのコントロールが効いている状態であったことが推測されます。確かに初期のアルバムの中では最も統一感があるように思います。

最も構成が複雑な7曲目「デヴィルズ・トライアングルTheDevil’sTriangle」は、ホルストの組曲「惑星」の中の「火星」をモチーフにしたもので、北村昌士さんが書かれた本「キング・クリムゾン−至高の音宇宙を求めて」(シンコーミュージック刊)によれば、当時「あらゆるコンサートで常にラスト・ナンバーとして演奏され、凄まじい威力を発揮したホルストの”火星”だが、著作権の問題からそのままレコーディングすることはままならず、タイトルの変更と若干の構成面の改造が行われ」たとのことです。

このアルバムではイアン・マクドナルドIanMacdonaldが抜け、キース・ティペット、メル・コリンズが参加。「ケイデンス・アンド・カスケイド」ではゴードン・ハスケルGordonHaskellが歌っており、サード・アルバム「リザードLizard」への流れがうかがえます。

このアルバムは1970年に発表され、このCDは1989年にロバート・フリップとトニー・アーノルドTonyArnordによってリマスターされたもので、1990年にヴァージン・ジャパン株式会社から発売、ビクター音楽産業株式会社から販売された日本盤です。ライナーには伊藤秀世さんが、当時のクリムゾンのメンバー流動の状況と、ギリシャ神話についての解説が詳細に書かれています。

1998.3.4