Drumming / Steve Reich


スティーブ・ライヒ(Steve Reich)は現代音楽の作曲家ですが、ロックファンにも良く名前を知られています。ライヒの作品は「ミニマル・ミュージック」と呼ばれ、単純なフレーズを繰り返すことで一種独特の印象を醸し出すものです。

「ドラミング(Drumming)という作品は1970年から1971年にかけて作られた作品で、最初はぽつりぽつりとした打楽器の音が次第に重なり、徐々に複雑なリズムになっていきます。ライヒはこれを「漸次的な位相変移プロセス」と呼んでいます。

第1部では主に小太鼓が使われ、後半でマリンバが重なり第2部に移行します。第2部の途中でフルートのような音がかすかに聞こえるのですが、これはどうやら声のようです。第2部の後半にグロッケンシュピールが登場し、第3部ではこれが中心的な役割を果たします。口笛と笛がクレジットされていますが、よく聞こえません。第3部はグロッケンシュピールの音が次第に少なくなって終わります。

第4部は2枚目のCD。小太鼓、マリンバ、グロッケンシュピール、声、ピッコロなどの楽器がそろって演奏されます。全部で85分以上にもなる大作です。

このCDには他に「6台のピアノ(1973年作)」「鍵盤打楽器、声、オルガンのための音楽(1973年)」も収められています。「6台のピアノ」はミニマルミュージックの原点のような作品。「鍵盤打楽器、声、オルガンのための音楽」はアンサンブルの面白さが感じられ、普通に楽しめる音楽です。

いずれも実験的な音楽ですから、「これが音楽なのか」と思う人も多いかと思います。ライヒの作品もこれ以降のものは、比較的聴きやすいものもあります。音楽に興味のある方は、一度は耳にしてみる価値があると思います。

1998.1.27