レンタルレコードがはやった頃、神戸元町の「Apple」という店に足げしく通っていました。この店は「流行物」ばかりでなく、ニューウエイブ系の珍しいレコードを惜しげもなく入荷し貸してくれる特異な店でした。この店には本当にたくさんの音楽を聴かせてもらいました。
オーネット・コールマンを始めて耳にしたのも、この店からです。雑誌の記事を見て、なにやらスゴイらしいと思い、店にあった「BodyMeta」とこの「OfHumanFeelings」を借りました。
最初は良くわかりませんでした。なにやら楽器の音がごじゃごじゃしていて聴きづらい。それでも「JAZZとはこんなものか」と思っていました。それに、音がいやに生々しい。まるでドラムやギターアンプなど、それぞれの楽器に耳を当てて聴いているような、生の音がしました。
その後、何年も経ってから、突然このアルバムの良さがわかりました。踊り出したくなるリズム、フレーズ。まさに「ダンシング・イン・ユア・ヘッド」。メンバーが全員、ほんとうに楽しそうに、自由に演奏しています。ギターなんか完全に遊んでいるような楽しさです。
1986年の「ライブ・アンダー・ザ・スカイ」大阪公演で、オーネット・コールマン・プライムタイムの演奏を生で聴く機会がありました。すごい演奏を体で感じながら、胸の中にふつふつと熱い気泡がたぎるようで、すさまじい感動の中で聴いていた私でしたが、まわりの人たちは冷めていました。オーネットの音楽を楽しむには、ある程度聴き込まなければならないのかも知れません。
このCDは、日本版で1995年10月25に発売されています。当時はまだこのCDの良さがわからなかった私は、気にはなっていたものの買いはしませんでした。ところがその後しばらくしてレコード店へ行くと、早々と廃盤になっていて手に入りません。それ以来、街を歩いていてレコード屋を見つけたら、どんなに急いでいても「JazzのO」のコーナーを必ず見るという習慣が長い間ありました。輸入店、中古店も必ず見ていました。入手できたのは半年後の1996年5月26日。あまりに嬉しかったので、記念にCDに日付を書き込んでいます。
1998.1.22