The Deram Anthology 1966−1968 / David Bowie


いたずらっ子のようなこの笑顔はなんだろう。顔は人の心を映し出す。偽りの心を悟られないようにと奇麗な言葉をどんなに並べ立てたとしても、瞳を覗けばその人の心の中が見えてくるものだ。ボウイは1947年生まれというから、このデラム時代の活動は彼の19歳から21歳までの間の記録となる。この瞳から何を読み取ることができるだろうか。

今でこそデイヴィッド・ボウイは世界的なロックスターだが、デビュー当時はヒットに恵まれなかったようだ。初期ボウイの代表作と思われる「愛は火曜までLoveYouTillTuesday」でさえ当時はヒットしなかったという。俺はこの曲が大好きだ。このアルバムにはデビューアルバム「デビッド・ボウイDavidBowie」に収められたものと、シングル・カットされたバージョンの両方が収められている。デラム最初のシングル「ラバー・バンド」も良い曲だ。これもアルバムに収められたものとシングルカット・バージョンの両方が収められている。デラム2枚目のシングルだった「ラフィング・ノーム」もいい。

デラム・レーベル時代の録音から27曲がこのCDに収められている。ミュージシャンの個性は、デビュー当時に全て明らかになっている、というのが俺の持論だが、ここにある録音の数々には後のボウイの作品につながる楽曲のイメージが見られる。音楽を分析的に聴くのは好きではないが、ボウイの全貌を掴みたい俺にはたいへん興味深いアルバムだ。

このアルバムは1997年にポリドール株式会社/ポリグラム株式会社から「NicePrice」シリーズと題されて1,835円の廉価で発売された日本盤のCDだ。


1999.12.29