さて今日は、ロキシー・ミュージックのギタリストとして有名なフィル・マンザネラPhilManzaneraのグループと言っていいだろう、クワイエット・サンQuietSunのアルバムだ。なんて素敵なバンド名なんだろう、そしてイメージぴったりのジャケットなんだろう。フィル・マンザネラといえば、俺にはブルース・フィーリングにあふれるギタリストという印象があるが、このアルバムではジャズ的なアプローチが濃い。メンバーはチャールズ・ヘイワードCharlesHayward(Drums,Percussion,Keyboards,Voice)、デイヴ・ジャレットDaveJarrett(FenderRhodes&SteinwayGrandPianos,Farfisa&HammondOrgans,VCS3)、フィル・マンザネラPhilManzanera(Electric6&12stringGuitars,TreatedGuitars,FenderRhodesPiano)、ビル・マコーミックBillMacCormick(ElectricBass,TreatedBass,Back−upVoices)の4人。それに加えてイーノEno(Synthesizer,Treatments&ObliqueStrategies)とイアン・マコーミックIanMacCormick(Back−upVoices)がゲストとなっている。
1曲目「SolCaliente」はヨーロッパ・ジャズ・プログレの香りが高い曲。8分02秒と長く、構成もしっかりしている。基本的に変拍子なんだが、めまぐるしく展開し、はっきりと拍子を特定することはできない。2曲目「TrumpetsWithMotherhood」はパーカッションが主体の小曲。そして途切れなく次の「BargainClassics」へと流れ込む。これは1曲目よりジャスに接近している。ハモンド・オルガンの音がそう思わせるのだろうか、ソフトマシーンに近いインプロビゼーションだ。これも変拍子で、基本的には7/8拍子が使われている。そして4曲目、ストリングス中心の静かな曲「R.F.D」でA面は終わる。
B面1曲目は「MummyWasAnAsteroid,DaddyWasASmallNon−stickKitchenUtensil」、「ママは星ヒトデ、パパは焦げつかない小さな料理道具だった」という意味か。これも冒頭、変拍子のリフで始まるスピードの感ある曲。後期クリムゾンの雰囲気も感じられる。2曲目は「Trot」。これは静かな中に熱いエネルギーが押さえ込まれたような曲で、キーボードの音がA面3曲目「BargainClassics」と同じくソフト・マシーンの雰囲気を持っている。最後の「Rongwrong」は7拍子を基本とする変拍子の曲。ピアノの独奏部分も挟んで構成もしっかりした9分39秒の大作。
このアルバムは1975年の1月にロンドンのアイランド・スタジオで録音されたと書かれている。このアルバムはPolydorから発売された英盤のアナログレコードだ。
1999.9.1