The End Of Asia / 坂本龍一 + ダンスリー


このアルバムは、岡本一郎をリーダーとする「ダンスリー」とともに、坂本龍一が作ったアルバム。録音は宝塚べガホールと日本コロムビア第2・第3スタジオで行われた。「ダンスリー」はリュートやウド、ホルン、に加えて、クルム・ホルン、レベック、サラセン・ギター、ヴィオラ・ダ・ガンバ、プサルテリウムというような民族楽器を演奏する音楽集団。解説の千野秀一さんは「近代以降の西洋音楽を経てきた人々がそれへの批判として中世ヨーロッパ音楽を演奏していた」とあるので、これらは中世ヨーロッパの古楽器なんだろうと想像する。

このアルバムでは、13世紀のイタリアやフランス、16世紀のスペイン、ネーデルランドの音楽。これらに混じって坂本龍一のアルバム「千のナイフ」から「グラスホッパー」と「ジ・エンド・オブ・エイジア」、アルバム「左腕の夢」から「ぼくのかけら」、そして書き下ろされた「ダンス」、「リヴァー」の曲が演奏されている。互いに違和感なくアルバムとしてまとまっており、坂本龍一の懐の深さが感じられる。どの曲もやさしい音楽だ。

このアルバムもロックというより現代音楽と言ったほうがいいジャンルになるだろう。1982年に日本コロンビアから発売された日本盤のアナログ・レコード。中古レコード店で手に入れたもので、音が静かなのでスクラッチ・ノイズが耳につく。できればCDのクリアな音で聴きたいものだ。

1998.12.28