このアルバムは、ファースト・アルバム「エレクトリック・アウトレット」に続くジョン・スコフィールドのソロ2作め。邦題は「鯔背(いなせ)」とあります。この言葉を辞書を引いてみると「勇み肌でいきな若者。また、その様子、気風。」とあります。まさに新進気鋭のギタリストを飾る言葉です。ジャケットで弾いているのはイバニーズIbanez(アイバニーズと発音する?)のギター。
1曲目「テクノ」は疾走するリズムが印象的です。この曲は冒頭を一瞬聴くと忘れられないでしょう。2曲目「スティル・ウォーム」はボサノバのリズムということですが、伝統的なものを感じさせない現代的な曲です。3曲目の「ハイ・アンド・マイティ」はゆったりとしたリズムで深みのある曲。アグレッシブなものもいいですが、こういう落ち着いて演奏もスコフィールドの魅力です。4曲目「プロトコル」は、これこそジョン・スコフィールド、というようなテクニカルなギターのリフが中心の曲。
アルバム全体はアグレッシブな曲と静かな曲が交互に収められていて、随所にジョン・スコフィールドらしさがにじみ出ています。彼はマイルス・デイビス・グループにいたときのことを、おもしろかったけれども自由がなく苦労の連続だった、と洩らしていることからも、この自らのソロ・アルバムでは、あふれ出てくるイマジネーションに身をゆだね、のびのびと作曲と演奏を楽しんだのでしょう。
このアルバムは1985年にグラマビジョンレコードGramavisionからスティーブ・スワロウSteveSwallowのプロデュースで発表されました。このCDは1986年にグラマビジョン/TDKCoreから発売された日本盤です。
1998.12.22