Atomic Rooster / ATOMIC ROOSTER


はっきりいって素晴らしい。こんな素晴らしいアルバムを知らずに今まで生きてきたことが恥ずかしくなるくらいにカッコいい。アトミック・ルースターのこのファースト・アルバムは、異端的なステージだったと言われるバンド「クレイジー・ワールド・オブ・アーサー・ブラウンTheCrazyWorldOfArthurBrown」にいたビンセント・クレインVincentCrane(organ)と、後に「エマーソン・レイク・&・パーマー」で世界的な成功をおさめるカール・パーマーCarlPalmerが、マルチ・プレイヤーのニック・グラハムNickGraham(bass、guitar、vocal)を加えて作ったものだ。

1曲目の「13日の金曜日」で既にノックアウト。初期のディープ・パープルのような歯切れのいいロック。2曲目の「アンド・ソー・トゥ・ベッド」は、不安定なコード展開の印象的な曲で、ここではハモンドオルガンが前に出ていて、「ナイス」のキース・エマーソンに似たサイケデリックのいい雰囲気を醸し出している。そして3曲目の「ブロークン・ウィングス」はこれぞロックというくらいの野太い曲。ギターではなくハモンドオルガンが主人公だが、不思議と「クリーム」の香りがする。4曲目の「ビフォア・トゥモロウ」では再びギターがフューチャーされ、スピード感のあるロックを聴かせてくれる。5曲目の「バンステッド」は、後のELPを彷彿とさせる構成美を味わえる。

これらの曲がいずれも「〜らしさ」ではなく、アルバムを全体がアトミック・ルースターとしての仕上がりになっている。なんと贅沢なグループだ。商業的に成功しなかったというのが残念でならない。時代の先を歩みすぎたのであろうか。とりわけELPのカール・パーマー・フリークには必聴のアルバムだろう。若々しいドラミングの中にカール・パーマーらしい「どたばた」ドラムが存分に味わえる。

このアルバムは1970年に発表された。このCDはRepertoireRecordsから発売されたもので、CD盤にはオーストラリア製との刻印がある。MSIが輸入し「原型回帰BackToTheBasicシリーズ」として発売されたもの。歌詞、訳詞、解説も付いている。


1998.12.4