レッド・ツェッペリンの魅力を学生時代に発見し得なかった私は、名曲「天国への階段」が収められた、「フォー・シンボルス」と呼ばれることもある4枚目のアルバム以降は聴かなくなってしまいました。ですからこのアルバムは、まさに今聴いたところです。このアルバムのツェッペリンはますますアコースティックやストリングスを使った幻想的なサウンドに傾倒してゆき、純粋のハードロック・バンドではなくなっています。
1曲目の「永遠の歌」は軽快なテンポの曲ですが、なぜかスピード感に欠けるように思えます。2曲目「レイン・ソング」はアコースティック・ギターで始まる穏やかな曲。暗く惨めな印象を受けます。3曲目「丘のむこうに」もアコースティック・ギターでフォーク・ソング調に始まる曲。ブルージーに展開し、ツェッペリンらしくない曲です。4曲目「クランジ」は4拍5拍の9拍子をテーマに取り入れた、変拍子の曲。とてもファンキーな曲です。
5曲目「ダンシング・デイズ」はリフの大きな曲。キッスなんかがやりそうな、アメリカン・ハードロックの雰囲気を感じます。6曲目「ディジャ・メイク・ハー」はレゲエ。7曲目「ノー・クオーター」はオルガンで始まるプログレ調の曲。ピンクフロイドみたいです。最後の8曲目「オーシャン」はミドル・テンポの曲。ディープ・パープルみたいだなあ。
私がリアルタイムで聴いていないこともあるのでしょうが、アルバム全体が散漫な印象を受けます。そして前作「フォー・シンボルス」までに感じた「ツェッペリンらしさ」があまり感じられないように思えます。
同僚のNさんはツェッペリンがお好きです。「『聖なる館』はとてもポップなアルバムですね。それに比べて『プレゼンス』は言わば硬派のアルバムで、デビュー当時のツェッペリンに戻ったようなアルバムです。もし『聖なる館』が気に入らなくても、これはきっと気に入るでしょう。私は一曲目の『アキレス』が大好きで、これを聴けばアルバムの良さがすぐにわかります」と言い、アルバム「プレゼンス」のレコードを貸してくれました。
ところで、このCDのジャケットには、真ん中に大きく「LED ZEPPELIN HOUSES OF THE HOLY」と書かれています。どうも不自然に思っていると、やはりこれはオリジナルのアルバムには書かれていないようです。子どもの裸が倫理的に良くないと思われたのかなあ、と考えたりしています。
このアルバムは1973年に発表されました。このCDはリマスターされたものではなく、「フォーエバー・ヤング・シリーズ」と題されて1,875円という廉価で株式会社ワーナー・ミュージック・ジャパン発売された日本盤です。
1998.9.20