Fireball / DEEP PURPLE


私と同世代でロックにはまった人なら、おそらく万感の思いでこのジャケットを見つめることでしょう。最も栄華を極めた、「黄金期」ディープ・パープルのアルバムで、通算6枚目のアルバムです。5枚目の名作「イン・ロックInRock」と、これもまた名作の7枚目「マシン・ヘッドMachineHead」の間に挟まれ、影の薄い感のあるアルバムですが、「ファイアー・ボールFireball」、「ストレンジ・カインド・オブ・ウーマンStrangeKindOfWoman」という名曲が入っています。

高校時代に友達とバンドをやっていました。まずは有名なバンドのコピーをすることから始めました。ディープ・パープルは大好きだったので、なんとか演奏したいと思っていましたが、技術的になかなかうまいきません。またそう小遣いもありませんから、楽器を買ったり練習スタジオを借りたり、またアルバム(レコード)を買うのもたいへんで、親や学校に隠れてアルバイトをしたりしていました。

「ファイアーボールFireball」は特に憧れの曲で、激しく連打されるバス・ドラムに驚嘆し、そのスピード感に酔いしれました。でもとうてい演奏など思いもつかないほど難しい曲に思えました。当時はシングル・レコードを買って聴くことも多く、アルバム全体を聴くことは少なかったですね。ですからこのアルバムも、全体を通して聴いたのは、ごく最近のことです。

アルバムを通して聴くと、ディープ・パープルというバンドも実に様々なタイプの曲を演奏していたんだなあと気が付きます。2曲目「ノー・ノー・ノーNoNoNo」は、派手さはありませんが、とても味のある曲です。リッチー・ブラックモアのギター・ソロも、レインボー時代に良く使う、エコーを効かせたレガートのフレーズが聴けます。ボトル・ネック奏法でしょうか。4曲目「誰かの娘Anyone’sDaughter」はカントリー風の曲。7曲目「誰も来ないNoOneCame」はブルース風。まるでキャプテン・ビーフハートのような「だみ声」で歌うイアン・ギランが、別人のように思えます。

このアルバムは1971年にワーナー・ブラザーズ・レコードWarnerBros.RecordsInc.から発表されました。このCDはワーナー・パイオニア株式会社から発売された日本盤です。

1998.8.4