Absolutely Live 1971−1978 / PFM


高校3年生の頃からプログレの魅力に取り付かれました。最初はキング・クリムゾン、ピンク・フロイド、E.L.P.という有名なグループから聴き始め、しだいに瞑想系、といいますか、タンジェリン・ドリームやカン、アモンデュールというジャーマン・プログレも聴くようになりました。どれも素晴らしく私の心に感銘を与えてくれましたが、最終的にたどり着いたのは、PFM、フォーカス、オザンナ、アトール、などのヨーロピアン・ロックでした。中でもPFMはエネルギッシュで明るいところが大好きでした。

このアルバムは、リーダーのフランツ・ディ・チョッチョFranzDiCioccio自らが監修し、PFMのライブを収録したものです。PFMは1987年まで活動していましたが、そのうち最も華やかに活動していた頃、タイトルにもある1971年から1978年の録音を4枚ものCDに収めています。CDは「ザ・ビギニング/1971−1972」、「甦る世界ツアー/1974」、「チョコレート・キングス・ツアー/1976」、「コンタミネーション/1977−1978」の4部に分かれています。

DISC1では、PFM初期の演奏を聴くことができます。クリムゾンの「21thCenturySchizoidMan」や、クリムゾンのセカンドアルバムから「PictureOfTheCity」が演奏されており、クリムゾンに勝るとも劣らない演奏力がわかります。しかしここでもやはり彼らの演奏が爆発するのは、名曲「ハンスの馬車LaCarrozzaDiHans」や「何処で・・・何時・・・Dove・・・Quando」などのオリジナル曲です。おそらく録音器材が簡単なものとうかがえ、それだけに生々しいライブの印象を強く感じ、ほんとうに背筋が寒くなるほどのエネルギーを感じる演奏です。

私が好きなのは、なんといっても「甦る世界ツアー」を収めたDISC2です。この時期のライブは、「Cook」というオフィシャル・ライブ・アルバムも発表されていて、これも学生時代によく聴きました。PFMの歴史の中では、一般的には「アクア・フラジーレ」のボーカリストであったBernardoLanzettiを迎え、マウロ・パガーニも在籍していた時期、このアルバムではDISC3に収められた時期を最も充実した時期といわれています。でも私はどうもビブラートを大袈裟に効かせた彼の歌は好きにはなれません。また祖国語であるイタリア語で歌われた方が、彼らのエネルギーをより強く直接に感じることができるので、フランツ・ディ・チョッチョのボーカル時代の方が好きですね。

もちろんバンドとしての演奏力はDISC3「チョコレート・キングス・ツアー」の方が確実に充実しています。これも名曲「フォー・ホールズ・イン・ザ・グラウンド」や「セレブレイション」は素晴らしい演奏です。特に「セレブレイション」は私のお勧め中のお勧めです。ヨーロピアン・ロックの面白さを味わうためには、まず、この曲から聴いてみてはいかがでしょうか。

ああ、できることならライブで直接「セレブレイション」を、それもオリジナルのイタリア語「エ・フェスタE’Festa」で聴いてみたいと思うのは、私だけでしょうか・・・

このアルバムは1996年にキング・レコード/ネクサスから発売された日本盤のCDです。もしかしたら日本のみ発売のアルバムかも知れません。

1998.7.12