Octopus / GENTLE GIANT


ジェントル・ジャイアントGentleGiantというプログレッシブ・ロック・バンドは、日本ではあまりポピュラーではないようです(ファンの方にはごめんなさい)。他のバンドとのメンバーの交流もないようですし、1981年の解散後、メンバーの活動もないようです。

このアルバムは、職場の近くの中古CD店で380円で見つけて買ったものです。このように格安で良いアルバムを見つけるのもアルバム収集の醍醐味ではないでしょうか。ところでこのCD、実は学生時代に持っていたレコードと同じものでした。ジャケットが違うので聴いてみるまでは気が付きませんでした。学生時代のレコードも手元にあればジャケットの違いを紹介できるのですが、どうも見当たりません。

とにかくテクニックは確かです。曲の構成力もすごい。まるでオペラのようにドラマチックで劇的な音楽です。でも華やかさとエネルギーに欠ける気がして、地味な印象を受けるところが残念ですね。こういうアルバムは聴き込めば聴き込むほど味が出てきて、その良さがわかってくるものです。今回手に入れたのは日本盤なので歌詞も訳詞もついており、じっくりと味わいながら楽しむことができました。ポータブルCDでヘッドフォンを耳に入れて聴くと、高校生の頃にアナログ・レコードでは気づかなかった低音の音圧がすごいことに気がつきます。

少し引用が長くなりますが、解説を書かれている長塚正美さんは、「それぞれの曲がタイトかつインテリジェンスな力作ばかりである。特に5曲目のインストゥルメンタル・ナンバー『ザ・ボーイズ・イン・ザ・バンド』ではジェントル・ジャイアントの非常に緻密なアレンジが施されており、正に”計算され尽くしたインプロヴィゼーション”とでも言いたくなるような驚異的なプレイに圧倒される。話が逆転してしまうがオープニング・ナンバー『バナージの到来』もハイライト・ナンバーのひとつである。独特のヴォイス・ハーモニーで始まり、正確無比、かつパワフルなジョン・ウェザースのドラミングにギターとキーボードが点描的なアドリブで絡み合う。イタリアのプログレッシヴ・ロック・バンドの多くが影響を与えたバンドとしてジェントル・ジャイアントの名を挙げるが、この曲からその辺のことがうかがえる。」と述べています。

このアルバムはジェントル・ジャイアントの4枚目のアルバムで、1973年に発表されました。このCDは1990年(正確にはクレジットされていませんが)に「スーパー・CD・ロック、ロック・オリジナル・コレクターズ;プログレ・コレクション」と題して、「ジェントル・ジャイアント/ジェントル・ジャイアント」、「包帯の男/レ・オルメ」、「新ノア記/アンジュ」、「宇宙の探訪者/ベガーズ・オペラ」とともに日本フォノグラム株式会社から発売された日本盤です。

1998.6.4