The Four Sections ・ Music For Mallet Instruments,Voices,And Organ / Steve Reich
「ザ・フォー・セクションズTheFourSections」は、あらかじめそう言われなければステーィブ・ライヒの作曲とは思えない作品です。実験的な音楽から完成された芸術への昇華が完成したといえる作品です。
第一セクション「Strings(WithWindAndBrass)」は和声を重視した感情豊かなバイオリンの合奏で始まり、コントラバス、金管楽器などが加わって盛り上げていきます。ミニマル的な要素は少なく、ライヒらしさの感じられない印象で曲は始まります。しかし良く聴いてみるとメロディーの基本は「漸次的変移プロセス」による構造で組み立てられています。
第一セクションに続いて突然に始まる第二セクション「Percussion」は打楽器が使われているわけではなく、ビブラフォンとピアノによるスタッカートをきかせた打楽器風のメロディーで演奏されるセクションです。バス・ドラムもリズムを強調するために使われています。
演奏は途切れなく第三セクション「WindAndBrass(WithStrings)」に移ります。クラリネット、フルートなどの管楽器が中心となり、弦楽器がサポートしながら繰り返しのメロディーを重ねあわせてゆきます。
最後の第四セクション「FullOrchestra」は、これまでのライヒのどの作品よりもリズミックで劇的な展開を見せる部分です。ここには偶然に支配された「漸次的変移プロセス」や、短いフレーズの繰り返しというミニマル的な要素は感じれません。
「マレット楽器、声とオルガンのための音楽MusicForMalletInstruments,Voices,AndOrgan」は、「八重奏曲Octet」の延長線上にある作品。マリンバ、グロッケンシュピール、ビブラフォン、エレクトリック・オルガン、ボイスという構成の「スティーブ・ライヒと音楽家たちSteveReichAndMusicians」というパーマネントのグループにより、リズムが強調された曲になっています。「漸次的変移プロセス」と「ミニマル手法」を、大上段に構えず効果的に生かした音楽となっています。
このアルバムは1990年にエレクトラ・エンターテインメントElektraEntertainment(エレクトラ・ノンサッチElektraNonesuch」から発表されました。このCDはワーナー・ミュージック・ジャパンから同年に発売された日本盤のCDです。
1998.4.12