「はにわオールスターズ」のリーダー、というより「主催者」のような言い方がピッタリくる仙波清彦さんのソロアルバムです。「Buson」とは「蕪村」と書く江戸中期の画家でもある俳人のことです。マイクロソフト・小学館の「ブックシェルフ」によると(これ、とても重宝します)、「俳句は離俗、象徴的で美的典型を示し、中興俳諧の指導的役割を果たした。一方画にすぐれ、大雅と並び文人画の大成者といわれる。」とあります。
CDに収められた12曲は、それぞれ俳句が添えられており、おそらく蕪村の俳句から着想を得て作られたものだと思います。作曲は仙波さんに加えて板倉文、久米大作、近藤達郎、清水一登、矢野誠の名前があります。3曲目「狸」と9曲目「温泉」には小川美潮さんが詞を書いています。どちらも素朴で心に響く言葉を選んで書かれた、小川さんらしい暖かい詞です。
ライナーには仙波さんがお父さんと一緒に、つづみを持ってミキシング卓に向かって座っている写真があります。私の勝手な思い込みですが、伝統芸能の継承者としては異色の音楽活動をする仙波さんに、お父さんは「そんな奴には仙波流を継がさん!!」と言うんじゃないかと思いましたが、二人ともリラックスしてレコーディングを楽しんでいるという雰囲気です。
このアルバムは1988年にCBSソニーから発売されました。もちろん日本盤のCDです。「田渕亮介さん完成しました!!」という言葉が記されていますので、このアルバムは「難産」だったのかも知れません。
1998.4.16